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第9次肺癌登録事業(悪性胸膜中皮腫症例の前向き登録事業)のセミナー開催のお知らせ



  悪性胸膜中皮腫は胸膜に原発する比較的稀な悪性腫瘍で、その発生には石綿(アスベスト)の曝露が大きく関与しています。我が国のアスベスト消費増加に伴い、悪性胸膜中皮腫による年間患者死亡数はICD-10が導入された1995 年の500人から、2012年には1400人と著明に増加しています。悪性胸膜中皮腫は石綿曝露からの潜伏期間が30-40年と言われており、我が国では2020年から2030年代がピークとなる見込みです。一方、悪性胸膜中皮腫は低頻度の疾患であること、最近まで有効な治療法が存在しなかったこと、予後が極めて不良であることなどから臨床情報に乏しく、全国的な多施設共同研究が求められます。

 近年、国際的に共通の病期の確立の必要性が認識され、International Association for Study of Lung Cancer (IASLC、世界肺癌学会)とInternational Mesothelioma Interest Group(IMIG、国際中皮腫研究会)が中心となって後方視的国際データベース事業が行われ、我が国からも世界で第5番目に多い症例を登録しています。しかし、IASLCデータベースは後ろ向き登録であること、非常に雑多な症例から構成されていることから、悪性胸膜中皮腫治療の真の現状を必ずしも反映していません。以上のような状況により、本邦の肺癌登録合同委員会が悪性胸膜中皮腫症例の前方視的データベース事業を行うことになりました。

 本研究の目的は、本邦で診断されたすべての悪性胸膜中皮腫症例を前方視的に登録してデータベースを構築し、治療成績を検証し、TNM分類と病期の妥当性を検証し、標準治療の確立のための基礎データを構築することです。さらに、構築されたデータベースをもとに臨床研究を行い国内外に情報発信するとともに、国際的な前向きデータベースにも参加する予定です。

 皆様に概要をお知らせ致しますとともに、是非、本登録にご参加頂きたくご案内申し上げます。


肺癌登録合同委員会

委 員 長 吉野 一郎
事務局長 奥村 明之進
第9次登録事業作業部会委員長 長谷川 誠紀